待望の妊娠が分かると、素敵なマタニティライフやかわいい赤ちゃんとの毎日を想像するものです。しかしお腹にやってきたのが双子であることが分かったママやパパは、うれしい反面不安を感じるのがほとんどではないでしょうか。
かわいいけれどきっと大変…というイメージがある双子育児。実際にはどういうものなのか、双子ママである筆者が経験者ならではのリアルな双子育児のあれこれを紹介します。
目次
1.双子がお腹にやってきた!安定期に入るまでの過ごし方
双子の妊娠は喜ばしいことである反面、普通の妊娠とは違う状況がたくさん出てくるので準備が肝心です。普通の妊娠とほとんど変わらない妊娠初期のうちに、考えたり決めたりしておくといいことを紹介します。
1-1.出産する場所をよく検討して決める
もともと女性の体は、1人の赤ちゃんを10ヶ月育てる前提でできています。ですから、1つの子宮で2人の赤ちゃんを育てるのはいわば特殊な状況。ママの体にかかる負担はかなり大きくなります。
双子という条件だけですでにハイリスク妊娠と呼ばれるのですが、さらに
・35歳以上の高齢初産
・以前子宮の手術をしたことがある
・高血圧や甲状腺異常などの持病がある
といった条件が加わると、一般的な産婦人科や助産院ではまず出産できません。つまり、「マタニティ教室でヨガとかもできるクリニックにしたい」「産後のお祝い膳が美味しいところにしよう」といった自由な選択はできないんです。
妊娠が分かってから数回の検診はどこの産婦人科でも受けられますが、その後NICU(新生児集中治療室)がある総合病院や、高度な治療技術を持つ大学病院への転院を打診されることが多いです。
妊娠中期から後期になると、双子妊娠はさまざまなトラブルが起きやすくなるので、通院しやすさや入院した時のことを考えてどこで出産するかをよく検討しましょう。
1-2.周囲のサポート体制を固める
妊娠初期はまだ赤ちゃんが小さいので、一般の妊娠との違いはほとんど出ません。しかし週数が進むにつれて違いがいろいろと出てきて、家族のサポートは必須になります。
筆者の場合、安定期まで何も異常がなく「楽勝だなあ」と思っていた矢先の安定期突入直後に出血して緊急入院になりましたし、その後同室になった双子ママも急な体調不良を体験した人が多かったです。まさに油断は禁物です。
体の状況によっては自宅で静養する、早くから管理入院しなければいけないといった可能性もあります。その時になって慌てないよう、パパや両親、兄弟姉妹など手を借りれる人は誰か、通院の付き添いや家事の分担などどんなサポートが可能か、早めに相談して妊娠中期からのサポート体制を固めておきましょう。
1-3.出産準備は動けるうちに済ませよう
もし自宅静養や管理入院といった事態にならなかったとしても、妊娠中期以降はお腹が出てきて動きにくくなってきます。一般的には出産まであと1~2ヶ月になってきた頃に「そろそろベビーウェアやおもちゃを買おうか」という感じが多いでしょうが、双子妊娠の場合は先ほども言ったように体調が急変する可能性が高め。
かといって、パパやおじいちゃんおばあちゃんでは準備もままならないでしょうし、やはり自分で準備したいですよね。特に初産ママであれば、出産準備も楽しみのひとつですよね。
筆者の主治医の話では「双子妊娠だからつわりがひどいということはなく、個人差が大きい」ということでしたが、この時期つわりで動けないママもいるでしょう。つわりがひどい場合は、もちろん休養が最優先です。準備は落ち着いてきてからで大丈夫。
つわりがあまりないなら、安定期に入る5ヶ月から6ヶ月頃のまだお腹がそこまで大きくなっていない時期までに準備を完了する目安です。ただし、長時間買い物をするとそれだけ体に負担がかかるので、回数を分けてちょこちょこ買い物をしておくのがおすすめですよ。
赤ちゃん2人分の準備は意外と時間がかかります。焦ってあちこち買い物に回らなくてもすむように、体が動かせるうちに進めておきましょう。
2.妊娠中期から訪れるさまざまな「たたかい」

双子妊娠は、妊娠中期に入って赤ちゃんたちが成長してくることで、一般的な妊娠よりも2ヶ月前後体調の変化が早く出ると言われています。まさに「日に日にお腹が大きくなる」というイメージです。
それまで快適に過ごしていたのに体調不良を感じやすくなったり、その影響でストレスを感じやすくなったりしますから、余裕をもって過ごすことが大切です。妊娠中期のポイントをまとめておきます。
2-1.安定期を過ぎると体調の波が大きくなる
安定期に入る頃の楽しみといえば安産祈願。神社にお参りに行ったり、戌の日にお腹にさらしを巻いて家族でお祝いしたりしますよね。個人差はありますが、この時期あたりから赤ちゃんたちの成長スピードが上がることもあってママの体は急激に変化し、体調の波が大きくなってきます。
お腹が重くなってくると、足がむくみやすくなり、胃が圧迫されて食欲が下がります。ホルモンバランスの変化で食事の好みも変わる人が多いようです。ちなみに筆者は異様にモスチキンが食べたくて仕方なく、でも主治医に止められていたので我慢したのですが、周囲のママの中にも「ポテトを毎日食べていた」「今まで食べられなかった納豆が無性に食べたい」など、本人もびっくりするような嗜好の変化が出やすいです。
夜眠れなくなって睡眠が浅くなるケースも多いのだとか。ぐっすり眠れないとイライラしやすくなるので、可能ならお昼寝で補うのがいいですね。
2-2.心配な時は遠慮せず受診しよう
一般的な妊娠は、妊娠中期は比較的体調が安定している時期と言われます。しかし双子妊娠の場合は、安定期はないと考えておいた方がいいです。おそらくほとんどの双子ママは主治医からそう言われているはず。それくらい体調の変化が早く、そして大きく出やすいのが双子妊娠の特徴の一つです。
先ほども少し触れましたが、筆者は5ヶ月目の妊婦検診に行って異常なしと診断され、ほっとした2日後に出血しました。出血といっても見えるか見えないかといったほんの少量の出血で、「一昨日行ったばかりだし、これくらい大丈夫なのでは」と思ったくらいです。けれど主治医に「どんなに小さい変化でもあったらすぐに来るように」とさんざん念を押されていたので、失礼ながらしぶしぶ行ったんですね。
すると緊急入院となり、その日の夜に大量出血して一時期は赤ちゃんたちを諦めるように主治医から言われるほどの事態に。結果的には1ヶ月半の管理入院で持ち直したのですが、あの時自己判断で受診していなかったら…と思うとぞっとします。
双子妊娠の場合、妊娠中期は一般的な妊娠の後期と同じ状態と思っておくべきです。「こんなことで受診していいのかな」なんて思う必要はありません。筆者の知っている双子ママも、この時期気になることがあったら何度も受診したと言っていました。受診して何もなければそれでいいのですし、何よりママ自身が不安を抱えずにすみます。
不安を抱えないこと、これが赤ちゃんたちにとってもママにとっても一番大切なことなのです。
2-3.体型の変化は予想以上にスピーディー
赤ちゃんたちの成長が加速してくる妊娠中期は、とにかくお腹がぐんぐん出てきます。体型の変化が大きく、それまで着ていたスカートやパンツがあっという間に入らなくなりますから、体を締め付けない、そして冷やさないゆったりとしたマタニティウェアが必須になります。
外出時にしゃがんだり体を前に倒したりすることが難しくなってくるので、スリッポンタイプのスニーカーがあると便利です。重い荷物を持たなくて済むよう、買い物は小分けにするのがおすすめ。
そして赤ちゃんたちが成長していくほどママは栄養を取られていきますから、栄養不足や貧血になりやすいです。1日3食なんて通常の生活リズムにこだわるのはやめて、食べられる時に食べようと大らかに考えましょう。
体型の変化に気持ちがついていかないママもいるかもしれません。けれどそれだけ赤ちゃんたちがすくすくと育っている証拠ですから、前向きにとらえてくださいね。
2-4.一般的なマタニティ生活は断念する勇気を持つ
最近は「マタニティ生活を満喫しよう!」という風潮が強く、ヨガやスイミングなどさまざまなサービスがありますね。しかし双子を妊娠した時点で、こうしたことを楽しむマタニティ生活はないものと思っておいた方がいいです。
その傾向は産院選びからすでに始まっていますが、日常生活でも同じです。赤ちゃん2人分の体重と羊水がママの体にかかってくるので、動き方によっては早い段階で子宮口が開いてきてしまい、早産につながります。「妊娠中は体調が良ければ体力をつけるために歩きましょう」とよく言われますが、双子ママにはあてはまりません。
個人差があるとはいえ、双子ママに運動を積極的に勧める主治医はほぼいないでしょう。ハイリスク妊娠であることを頭に入れて生活することが大切です。
3.いよいよ出産!妊娠後期は慎重第一で
妊娠後期に入ると、赤ちゃんたちはますます大きくなってくるのでママはさらに負担を抱えてきます。妊娠7ヶ月目で一般的な妊娠の臨月に近い状態になるので、正産期まで何とか妊娠を維持するために努力する時期です。
しんどい日々が続きますが、赤ちゃんたちと会えるのもあと少し。頑張りどころです。
3-1.多くのママが勧められる管理入院
妊娠後期、ママの体は限界に近くなりますので、10ヶ月後の出産予定日まで妊娠期間を続けることはまれで臨月に入ったらすぐに出産します。つまり、一般的な出産より3週間近く早く出産するケースが多いんですね。
子宮口の開きや破水がいつ起こってもおかしくないので、妊娠8~9ヶ月目あたりで多くの双子ママは管理入院を勧められます。体調がいいからと自宅で過ごすママももちろんいますが、むくみがひどくなったり血圧が上がってめまいがひどくなったりして、自宅にいてもほとんど横になっているという事態になりやすいです。それに万が一出血や破水をしてしまった時、自宅に1人でいるのはとても危険です。
もし主治医に管理入院を勧められたら、前向きに考えましょう。上のお子さんが気になるというママは、両親など誰かにお世話を頼むことも考えてくださいね。
3-2.入院中の心構え
管理入院は1~2ヶ月というパターンが多いです。そのまま出産まで入院することになるので、入院中に必要なアイテムに加えて産後使うアイテムも準備が必要です。
体調が悪い場合はその回復や出産のための体力温存が最優先ですね。血圧が上がる、全身がむくむ、便秘がちになるなどさまざまな体調不良が出やすいので、主治医と相談しながらできるだけ楽に生活できるようにしましょう。
体調がいい時は、正直言うと時間を持て余します。毎日の回診や定期的な診察以外はすることがありませんから、入院中でもできて自分がやりたかったことをこの期間にするのがおすすめ。筆者はベビーグッズを手作りしたり、赤ちゃんたちの名前を考えたり、読書をしたりしていました。
自分がやりたいことをやるチャンスは、この時期を逃すと当分ありません。なぜなら、赤ちゃんたちが生まれてきたら数年は自分の時間なんて取れないからです。
3-3.当然ながら分娩は2人分
いよいよ10ヶ月目が見えてくる頃になると、出産方法について主治医と決めなければいけません。双子の出産は帝王切開というイメージが強いですが、条件がそろっていれば自然分娩になる場合もあります。
筆者は帝王切開予定でしたが、最後のエコー検査で2人とも頭が下になっていたので自然分娩に切り替わったという経験をしました。同室の双子ママの中には、初めから自然分娩で臨んで2人目で陣痛が弱くなったためお産の途中で帝王切開になった人もいました。
双子の出産で帝王切開を勧められることが多いのは、
・同じ胎嚢の中にいてへその緒が絡まり合うのを防ぐ(一卵性の場合)
・分娩後の出血多量が起きやすい分処置しやすい
・1人目が生まれた後2人目が逆子になる可能性を減らす
といった理由からです。
どちらの方法であっても、赤ちゃんを2人産むことに変わりはありません。帝王切開なら手術時間は長めになりますし、自然分娩なら陣痛が2回きます。分娩も妊娠期間と同じくハイリスクなので、ママの希望よりも赤ちゃんたちの安全を最優先したいですね。
3-4.分娩後も油断は禁物
通常は、分娩が終わると赤ちゃんを腕に抱いたり初乳を吸わせるカンガルーケアをしたりできるのですが、双子の分娩では分娩中に出血が多いなどのトラブルが起こる可能性があるので、ママの処置が優先されます。
分娩室では異常がなくても、病室に戻った後に大量出血したり血圧が下がったりすることがまれにあります。主治医や看護師が病室でずっと経過観察をしてくれるわけではないので、分娩後しばらくはそういった異常への対処のためにも家族の誰かに付き添ってもらいましょう。
4.出産当日からスタートするスパルタな日々
かわいい双子との対面は格別です。長い間大きなお腹を抱えて育ててきた分、ママは特別感慨深いでしょう。
しかし双子育児の日々は出産当日からスタートしています。出産前から知っておくと心構えができるので、特に頭に入れておきたいポイントを3つ紹介しますね。
4-1.100%母乳にこだわる必要なし!
育児書やネットなどの育児情報では、いまだに母乳神話が強いものです。「母乳で育てて一人前」と言わんばかりの記事もよく見ます。しかし双子ママの場合は良くも悪くも一般的な育児論は当てはまらないと開き直っておくのがおすすめです。
冷静に考えてみてください。赤ちゃんは2人いてもママは1人しかいないんです。どんなに頑張ってもおっぱいは2つしかありません。ましてや2人産んだら倍の量のおっぱいが出るわけでもないのです。たとえ順調に出ていたとしても、2人の赤ちゃんに授乳しっぱなしなのですから足りないのが当たり前。
ママの体力を限界まで使いきる必要はないのですから、上手にミルクを活用しましょう。筆者の場合は、産後数日で「100%母乳なんて無理だわ」と悟ったので、退院した日に病院を出たその足でさっさとミルクを買いに行きました。そして母乳とミルクを2人に交互に飲ませて偏りが出ないようにしていました。
母乳であろうがミルクであろうが、赤ちゃんはしっかり育ちます。赤ちゃんが育つことが重要なのですから、そのための方法には必要以上にこだわらないことです。
4-2.自分の体力回復を後回しにしないで
帝王切開だと切開の傷が、自然分娩なら会陰切開の傷が産後も当分痛みます。そんな状態でも2人の赤ちゃんに3時間おきに授乳し、泣いたら抱っこしてあやし、おむつを替え…とお世話をしなければいけません。
夜もほとんど眠れませんし、かといって日中はお世話で忙しいので、産後は体力を奪われます。急変した生活になかなか慣れない上に、ホルモンバランスの乱れで精神的にピリピリしていますから、つらいと感じることも多いでしょう。
できれば家事は周囲に任せて、赤ちゃんのお世話に集中できる環境をつくれるといいですよね。さらに赤ちゃんのうちの1人を交替でお世話してくれる人がいたら、赤ちゃん1人に集中してお世話してあげられるので心身共に楽ですし、体力も早く回復します。双子のお世話に慣れてくる産後半年くらいまでは、できる限りサポートを受けるようにして自分の体力回復を優先しましょう。
4-3.生活リズムはなくていい
赤ちゃんたちは、お腹にいた時は昼夜関係なく眠ったり指しゃぶりをしたりくるくる回ったりして過ごしていました。ですから生まれてすぐに生活リズムが整うはずもなく、本能のままに泣いたり眠ったりします。
ママやパパや周囲の大人はそんな赤ちゃんたちに合わせるわけですから、当面生活リズムが崩れるのは仕方ありません。朝6時に起きてお昼を12時に食べて22時までに寝るといった生活はできないのが当然と思っておいた方がいいです。
裏を返せば、食事や睡眠をいつとってもいいということ。「手が空いた時に」「眠くなったら」という過ごし方でOKです。赤ちゃん2人を同時に育てるのですから、細かいところを気にしていたらママが追い詰められるだけ。時間にこだわってしまうとかえってストレスがたまるので、大らかに考えてくださいね。
5.0~1歳代は「甘えるママ」になろう

双子育児がもっとも大変なのは、赤ちゃんのお世話に手間も時間も取られる0~1歳代です。ママが一番疲れる時期だけに、「周囲に甘えるだけ甘えてほしい!」というのが経験者として言いたいことです。
甘えるというのは、周囲にすべて任せるという意味ではありません。押さえてほしいポイントは次の3つです。
5-1.育児書は読まない
先ほども少し触れましたが、一般的な育児方法で双子育児をしようとすると壁にぶち当たることが多々あります。
双子の赤ちゃんは、普通の赤ちゃんよりも約2週間~1ヶ月早く生まれるのでたいてい生まれた時は小さめです。1人が2000g少ししかないことも珍しくありません。スタートが小さめなのですから、母子手帳にある成長曲線の下の方にいるとしても気にすることはありません。体格が小さいことでハイハイやタッチが他の赤ちゃんより遅めであっても、検診で問題がなく元気であれば同じく気にしないことです。
5-2.オリジナル育児を大切に
育児書やネットで「○ヶ月までにこうしよう」といった情報があると気になるものです。絵本を読むのがいい、たくさん外に出て散歩させた方がいい…などときりがありませんが、赤ちゃん2人の基本的なお世話で一日が終わったとしても、それでいいと割り切りましょう。
赤ちゃんたちにとって何よりうれしいことは、絵本を読み聞かせてもらうことや散歩につれていってもらうことよりも、ママと一緒にいることなのです。そばでママの声を聴いて、ママの体温を感じることが赤ちゃんたちにとっての幸せなのですから、言ってみれば「よそはよそ、うちはうち」なんです。
時間がない、疲れてしまう、当たり前です。赤ちゃんが2人いるのですから。そんな中無理を押してまで、育児書やネットの情報をそのまま取り入れる必要はありません。そして、双子育児の経験がない人からの「こうしたらいいのに」といった意見も気にしすぎないことです。1人育児が楽という意味ではなく、育児の方針や方法は家庭それぞれで違うのですから、納得できる部分だけ取り入れて後はスルーでOK。
やってみたいことを、できそうだと思った時にできる範囲でやる。そういうオリジナル育児で自信をもって双子ちゃんを育てていきましょう。
5-3.周囲の手を遠慮なく借りる
ここまで何度も「周囲のサポートを受けましょう」と繰り返していますが、それほど重要なことなのだととらえてください。1人の赤ちゃんの育児でも産後うつになるママがたくさんいるのですから、2人の赤ちゃんを育てる双子ママは心身のバランスがさらに崩れやすいことを知っておいてください。
そもそも1人で2人の赤ちゃんを完璧に育てられる人はいません。熟練の保育士さんでもきっと数日でへとへとになるでしょう。0~1歳代の赤ちゃんにとって、ママは絶対的な存在。お世話をするのがメインではなく、赤ちゃんたちのそばにいて抱っこしてあげることが最大の役割です。ママのぬくもりを赤ちゃんたちに伝えて安心させてあげるには、ママが健康でなければいけません。
おむつ替えや着替えやミルク作りなど人ができることはどんどんやってもらいましょう。その間にママはできるだけ休んで、疲れをためないようにしましょう。1人でどうにかしようと思わないようにしてくださいね。
6.これはほんと!2~3歳代からぐっと楽になる双子育児のなぜ
実は筆者は子供たちが0~1歳代だった頃の育児の記憶がほとんどありません。授乳間隔をチェックするためにつけていた日記を見返して「こんな生活ほんとにしてた?」と我ながら思うほどです。とにかく自分の時間がなかったという印象だけが残っていますし、他の双子ママも同じだと思います。
しかし、そういう生活だったからなおさら、この時期を過ぎると急に楽になったという感覚が強いです。少し大きくなった2~3歳代の双子の育児は、それまでとは劇的に変わってきます。
6-1.双子ワールドを築き出す
2歳に差しかかる頃になると、子供たちは活発になってきます。走ってあちこち行きますし、好みがはっきりしてきて違う遊びをそれぞれ始めたりします。
双子であっても別々の人間なのですから、行動や関心が違うのは当然なのですが、見ていて思うのは双子ならではの世界があるのだなということ。まだ言葉がうまく話せないのに、2人でごにょごにょ喃語を話して爆笑している姿を周囲の赤ちゃんがぽかんとして見ているという場面が何度もあって、不思議です。
まったく同じタイミングで振り向いたり、同じ言葉を同時に発したりといった双子ワールドを見られるようになるのが2~3歳頃から。双子の親ならではの楽しみと言えるかもしれませんね。
6-2.2人でいれば寂しくない双子ちゃん
自我が芽生えてくるこの時期、ケンカも激しくなってきます。同じおもちゃが2つあるのに、そのうちの1つを取り合ってケンカになることもありますし、双子用ベビーカーの左右どちらに座るか、ママにどちらが先に抱っこしてもらうか、日常生活のいろんなシーンにケンカの種があります。
それでも、お互いが見えないと寂しくなるんです。たとえばケンカして1人はママに、1人はパパに抱っこされて違う部屋に離れると泣いてしまって、同じ部屋に戻ったら何事もなかったように遊び始めるといったこともよくあります。
そして2~3歳にもなると、2人だけで遊ぶのが上手になってきます。ママが相手をしなくても2人で遊んでくれる時間が少しずつ増えてくるので、ママの負担は減ってきます。常に抱っこしておかなければいけないという場面が少なくなってくるので、0~1歳代がきつかった分楽に感じることが多いでしょう。
6-3.70%でも双子は育つ
よく「双子は何でも2倍の手間がかかる」と言われますが、2~3歳頃になるとまとめて対応できることが増えてきます。食事はまとめて作ればいいですし、お風呂も一緒に入れば1回で終わります。着替えや歯磨き、お出かけの準備などは確かに2倍の手間がかかりますが、おそらく思ったほど負担に感じる双子ママは少ないのではないでしょうか。
それは双子育児がはじまって数年経ち、お世話の要領をつかんできていることも大きいです。どうすれば手早く対応できるか、自分なりのコツをつかんでいるのです。
たとえば公園に散歩に行くと、双子ちゃんはたいてい反対方向に走りはじめますが、すでに何度もそういうことがあって慣れている双子ママは、ずっと後を追いかけたりしません。これ以上行くと危ないというところまでは自由に走らせておきます。そうやって上手に手抜きできるようになってくるので大丈夫。
双子育児においては、常に100%のパワーを出すよりも70%程度でゆるく育てるのがベター。ママは適度に体力を温存できますし、双子ものびのびと育ちますよ。
7.双子育児のマネーのリアル
「双子はかわいいけれど何かとお金がかかりそう」という不安を持つママやパパは多いでしょう。2人子供がいる家庭ならかかるお金も変わらないはずですが、双子の場合はその2人分のお金が一気にかかるという点が良くも悪くも特徴的ですよね。
気になる双子育児のマネー事情を紹介します。
7-1.検診や出産に関する費用
まず妊娠中から出産までにお金について見てみましょう。
妊娠中は定期的な妊婦検診がありますが、自治体から出される妊婦検診の補助券を使います。妊婦検診の初回は血液検査などの特別な検査があるため1万円強の負担がありますが、2回めからは妊婦検診補助券で14回まで数千円で受けられます。双子妊娠であってもママは1人ですから、受け取れる補助券は一般の妊娠と同じです。検診費用は病院によって異なるので、詳細は通院する病院に確認しましょう。
妊娠中の支出は双子妊娠であっても一般の妊娠とあまり変わりません。ただし、妊娠中期から体調不良になる可能性は高く、管理入院を繰り返すケースもあるので、定期健診以外の受診費用や薬代がかさむ可能性は高めと考えておきましょう。
出産費用は入院費や投薬費、分娩時の処置費用などを含みます。帝王切開か自然分娩かによって金額に差があり、帝王切開は60~70万円、自然分娩は45~50万円が相場とされています。
出産においては自治体から出産一時金が出されますから、しっかり活用しましょう。産科医療補償制度に加入している病院なら子1人につき42万円、加入していない病院なら39万円をうけとれます。双子だと84万円もらえる計算ですので、特殊な処置を受けたり入院が長引いたりしなければ出産費用は出産一時金でまかなえます。
7-2.育児準備に関する費用
育児準備、つまり妊娠中に準備する物は、ママ用と赤ちゃん用とに分かれます。
ママ用はマタニティ用の服や下着、出産後に着る授乳口がついた服などが挙げられます。何枚準備するかによりますが、10ヶ月という期間は使いますのでトータルで4~5万円はかかるでしょう。
筆者は出産が夏だったので妊娠後期は暑い時期に重なったのですが、市販のマタニティウェアでは暑かったため、ユニクロの制汗タイプのメンズハーフトレパンをはいていました。安い上にさらさらな着心地でしたからおすすめです。ちなみに腹囲が100cmを超えていたのでサイズはXXLでした。
赤ちゃん用としては、ベビー服や肌着、おむつ、おしりふき、ガーゼハンカチ、タオルケット、哺乳瓶などです。服やタオルケットは2人分が必要です。後は生まれてから必要な量を買い足していけばOKです。購入する量にもよりますが、10万円前後はかかるでしょう。
さらに双子用のベビーカーや抱っこ紐、マザーズバッグといった育児グッズも必要です。ベビーカーは3万円前後が相場ですが、新生児から乗せられるタイプや輸入品は5~8万円するものも。抱っこ紐は双子用だと3万円前後ですが、ママ1人で双子を抱っこできる期間はそう長くありません。使える期間は短めですので、1万円前後の1人用を2セット買い、ママとパパで1人ずつ抱っこすることを想定したほうが結果的にコスパはいいですね。
7-3.育児に突入してから
出産し、双子育児に突入すると、消耗品の買い足し頻度が上がります。周囲のサポートがどれだけ受けられるかによりますが、産後3ヶ月くらいまでは赤ちゃん連れで人の多い場所にはお出かけできませんから、おむつやミルク、おしりふき、ウエットティッシュなどはある程度ストックしておく必要があります。
赤ちゃんの成長は早いので、肌着やベビー服はすぐにサイズアウトします。スタイ(よだれかけ)も、洗濯していても徐々に黒ずんでくるので時々買い換えた方がいいでしょう。靴は歩行を妨げないよう、成長に合わせてこまめに買い換えたいですね。身につける物は双子が同性なら着回しがしやすいですが、異性だと着回しがしにくいのでやや支出は増える傾向にあるようです。
大きくなるにつれて、おもちゃや絵本といった遊びグッズの支出が増えてきます。基本的には2つ必要なので、一般よりも2倍の支出があると考えておきましょう。
8.双子ママはストレス解消が大事!活用したいさまざまな支援サービス

家族のサポートがどれだけ受けられるかが双子育児の大きなポイントですが、それに加えて活用したいのがさまざまな支援サービスです。0~1歳代はもちろん、2~3歳代も双子が活発になるので違う負担があり、ママはストレスがたまりがちだからです。
他のママからの育児情報が必ずしも使えるとは限らないだけに、双子ママは外部の支援サービスを効果的に利用したいですね。
8-1.保健福祉センターの双子ママ向けイベント
各自治体が運営している保健福祉センターは、母子のサポートをしてくれる機関です。近年の双子の増加を受けて、年に数回双子の親子を対象としたイベントを開催する保健福祉センターが多くなってきています。
孤立しがちな双子ママをサポートするというのが主目的で、無料で参加できます。20~30組の参加者全員が双子とママという光景は圧巻です。双子ママ同士でないと理解し合えない悩みを共有できたり、双子ママの友達ができたりするのでおすすめですね。
8-2.ファミリーサポート
24時間ずっと双子と一緒にいると、ママは自分の時間がないのでストレスを解消する術がありません。双子ママなら、イライラがたまって赤ちゃんにぶつけてしまい、自己嫌悪に陥るという経験を何度もしているはずです。
この状態は決していいことではないので、ママが息抜きをする時間が必要。託児所にまだ預けられないうちは、ファミリーサポートを利用してみてください。ファミリーサポートは自治体が運営している育児支援サービスで、専門講習を受けた育児経験者が自宅で預かってくれます。
ファミリーサポートのいいところは、いわゆるご近所さんが預かり先という点です。多くの子供を同時に見る託児所とは違って我が子だけをお世話してくれますし、いわば育児の先輩なので自宅にはないおもちゃで遊んでくれるケースもあり、アットホームな雰囲気なのです。
筆者もよく利用しましたが、遊び方を教えてもらったり「夜にこれ食べて」と夕食用のおかずをいただいたりと本当によくしていただきました。小学生までは預かってくれますので、気が合うサポーターさんが見つかれば長期間お世話になるのもいいでしょう。
8-3.産後ケア教室
双子ママは、総合病院や大学病院で出産することがほとんどです。こうした病院は双子出産を数多く受け入れているので、入院や出産で利用した双子ママを対象にした産後ケア教室を定期開催しているケースがあります。
看護師や助産師といった有資格者がいますので、体調や母乳の悩みを聞いてもらえるメリットがあります。分娩をサポートしてくれたスタッフさんと再会して、子供の成長を見てもらえるのもうれしいですね。
8-4.家事サポートサービス
2人の赤ちゃんを出産したママは、大きく体力が低下しています。ホルモンバランスの乱れや慢性的な睡眠不足で免疫力が下がり、疲れやすくなっているママも多いです。こうした状態で産前と同じように家事をするのはなかなかつらいですから、食事や掃除といった家事をサポートしてくれるサービスを利用しましょう。
基本的には民間サービスで、業者によりさまざまなサービス内容があります。母乳が出やすいメニューを作ってくれるといったサービスなどもあって、産後半年くらいまでのママは助かりますね。
お金は自己負担ですが、ママが健康でストレスをためないようにすることで、双子育児に対して前向きになれるならメリットは大きいでしょう。できれば出産前から検討して、事前に話をきいておくのがおすすめです。
まとめ
双子育児は大変か?と聞かれると、「大変です」というのが正直な回答です。ただしその後にはこんな言葉が続きます。
「でも工夫すれば最高に楽しいです!」
一般的な妊娠出産とは違う点が多いだけにしょっちゅう戸惑いますし、「泣いていても1人しか抱っこしてあげられない」といったジレンマを感じることも少なくありません。しかし双子のかわいさに癒されるだけでなく、育児は思い通りにはならないことを身をもって体感することで、いい意味で開き直れるのです。
人生に対する価値観、変わりますよ。懐、必然的に深くなりますよ。
双子と一緒に自らが成長していく実感をしっかりと味わえる双子育児。開き直ってマイペースで楽しみましょう!
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