双子との毎日は変化に富んでいて、ママやパパは常に大忙しですね。毎日やることが次から次へと出てきて、2人にずっと目を配っているのが難しい時も多いものです。
しかし、小さな子どもの重大な事故は家庭内で起こることが多いと言われています。目が届きにくい瞬間が一般的な育児よりも増えやすい双子育児は、特に家庭内事故が起こらないよう注意しておきたいですね。今回は、双子の家庭内事故を防ぐためのポイントと意識したいおすすめの防止対策について紹介しましょう。
1.子どもの家庭内事故はいつ起こってもおかしくない
子どもの家庭内事故と聞いてもピンとこない人もいるかもしれませんが、たいてい事故は一瞬で、しかも「まさか」という子どもの動きで起こります。まずは家庭内事故の実態について簡単に把握しておきましょう。
1-1.0~6歳の事故の多くは住宅内で起きます
平成25年に独立行政法人国民生活センターが発表した「医療機関ネットワーク事業から見た家庭内事故-子ども編」によると、事故に遭った0~2歳未満の85.1%、2~6歳未満の63.5%は住宅内で事故を経験しています。
一般道路や公園、子どもプラザなどの施設などより住宅での事故が大幅に多いのは、過ごす時間が長いということもありますし、多くの物がある生活の場だけに危機意識がまだない子どもが動くことで事故につながりやすいと言えます。
参考URL(2ページ目に記載)
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20130328_4.pdf
1-2.家庭内で起きやすい場所って?事故とは(窒息、溺水、転倒転落)
では、家庭内事故とは住宅のどの場所で起きやすいのでしょうか。
家庭内事故が起きた場所の1位は居室です。リビングや寝室など、子どもが過ごす時間が長くソファやベッドといった家具も多いことから、ママやパパと一緒にいても一瞬目を離したすきに事故が起きるケースが多いようです。
2位はキッチンやダイニングです。キッチン本体や食器棚の引き出しはチャイルドロックがかけられないタイプが多く、ダイニングセットなど子どもにとっては高低差のある家具も置いてあるため、思いがけない事故が起きやすいです。
3位は階段、4位は浴室、5位は玄関と続きます。自分で歩けるようになると移動範囲が増え、ママやパパが気づかないうちに居室から出てしまうケースが多いようです。そして件数は少ないものの、廊下やトイレでも事故が起きています。住宅内のどの場所でも事故が起きる可能性があると意識しておくことが大切ですね。
参考URL(15ページ目に記載)
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20130328_4.pdf
1-3.家庭内で起きやすい事故の内容は?
次に家庭内事故の内容について見てみましょう。
0~2歳未満は転落事故がもっとも多く、次いで誤飲・誤嚥、転倒と続きます。2~6歳未満も一番多い事故は転落事故で、転倒、ぶつかる・当たるという事故が次に多くなっています。
リビングや寝室で家庭内事故が起きやすいことと合わせて考えてみると、ソファやベッドから転落する、室内にある小さな物を誤って口に入れる、テーブルなどの家具の角や柱にぶつかるといった事故が多いと考えられます。またよちよち歩きの頃に、階段や玄関の段差で勢い余って転倒したり、入浴時に濡れた床ですべって転ぶといった事故も起きやすいです。
参考URL(16ページ目に記載)
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20130328_4.pdf
2.なぜここが危険なの?家庭内事故が起きやすい場所別の注意ポイント
どんなにママやパパが注意していても、子どもは大人が予想しないような動きをすることがあり、ケガはつきものです。特に動きが活発になるハイハイ時期以降は、双子それぞれを同じように目配りするのが難しくなってきます。
とはいえ、できるだけケガをしないよう、またケガをしたとしても最小限で済むような環境の住宅にしておくことが大切ですね。子どもの家庭内事故が多い場所別の注意ポイントをまとめてみました。
2-1.リビング
リビングはパパやママと双子がもっとも長く過ごす場所ですから、必然的に家庭内事故が起こる確率も高くなります。先ほども少し触れましたが、ソファから転落したりベビーチェアごと倒れたりしてケガをするケースが多いです。1人で歩くようになると、ちょうど目の高さにテーブルやカウンターがきますが、子どもは視野が狭くほぼ正面しか見ていませんので、テーブルやカウンターが見えていなくておでこや目の近くをぶつける事故が増えます。
できればソファはロータイプにする、テーブルなど家具の角は専用キャップでカバーするといった対策が必要です。
また、リビングはコンセントの数が他の場所より多いのも特徴のひとつ。子どもが座った時にちょうど視界に入る高さにあるので、なんにでも興味を持つ時期はよだれがついた手で差込口を触る可能性があります。感電しないよう専用キャップでふさいでおきましょう。
2-2.寝室
リビングと同じく寝室も転落事故が起きやすい場所です。夜寝ている時は、生まれてから半年くらいまでは柵付きのベビーベッドが使えますし、その後もパパやママの間で寝かせていることが多いため転落事故は起きにくいです。
危険なのは、ハイハイやつたい歩きをするようになった頃。自分でベッドによじ登って遊んだ後、降りる時に転落しやすいです。子どもは体格に比べて頭が重くバランスが悪いため、転落する時は頭から落ちやすいのです。
ベッドの下に厚手のマットを敷いておく、可能ならベッドではなく布団にするといった工夫をしたいですね。
2-3.キッチン
小さなアイテムが多く刃物や加熱機器があるキッチンは、ママやパパにとって気を使う場所です。最近のキッチンは収納部分がスライドになっていることが多く、子どもの力でも開けやすいので、中に収納した物を取り出している間に頭をぶつけたり指を切ったりすることがあります。また、つたい歩きができるようになるとワークトップの上に置いたお皿や包丁、箸などに手が届いてしまうので、重大な事故につながりやすいです。
キッチン内はなるべく物を外に出さないように整理しておくことが重要ですが、できればキッチンスペースの手前にベビーフェンスを立てて子どもが入ってこないようにしておくと安心ですね。
2-4.階段
2階建ての住宅には必ずある階段。1階にリビングや水まわりがあって2階に寝室がある住宅だと、階段は毎日使うことになります。数段転落しただけでも大ケガにつながることがありますから、階段まわりでは子どもを一人にさせないことが重要です。
階段の上り口や下り口部分にはベビーフェンスをつけて、子どもが階段に一人で侵入しないようにしましょう。
2-5.浴室
浴室と隣接する洗面室は、洗剤やシャンプーといった子どもが口にすると非常に危険なものがたくさんあります。洗面台の下の扉にはロックをつけて、子どもが簡単に開けられないようにしておきたいですね。
また、浴室は浴槽をのぞきこんで浴槽内に頭から転落した場合、ケガだけではなく溺れる可能性があります。浴槽内の残り湯は毎回捨てておくことに加えて、残り湯を捨て忘れた時のために浴室ドアをロックし浴室内に入れない工夫が必要です。
2-6.バルコニー
バルコニーでの事故件数は多くないものの、重大な事故につながりやすいという特徴があります。子どもからするとバルコニーから見える景色はとても刺激的ですから、つい手すりをよじ登ってみたくなるもの。築年数が古い住宅だと、バルコニーの手すりに横桟が入っていることがあり、2~3歳頃の子どもが足をかけてよじ登ると手すりを超えて落下する事故が起こりやすいです。
また、バルコニー用の大型ごみストッカーなどを置いていると、それを踏み台にして手すりから身を乗り出し、バランスを崩して落下することがあります。手すりによじ登れないようバルコニーには極力物を置かないようにしましょう。バルコニーの出入りに使う掃き出し窓をダブルロックにするのも有効ですね。
3.双子は危険も2倍!家庭内事故を防ぐには
多少の差はあってもほぼ同じペースで成長していく双子を落ち着いて見ていられるのは、寝返りをしている頃までです。そこからハイハイをはじめ、つたい歩きができるようになり、一人で立ったり歩いたりできるようになると、自分の思う方向へ2人がそれぞれに移動するので自然と家庭内事故が起きる確率も高まります。
双子育児をする上で家庭内事故を防ぐために、ちょっと変わったコツも含めて事故防止のポイントを紹介しましょう。
3-1. コンセントはカバーより家具で隠す
小さな子どもがいる家庭のマストアイテムとして人気のコンセントカバーですが、最近はアニメのキャラクターを模したものなどかわいいデザインの商品が増えてきました。確かにコンセントに差し込むととてもかわいいのですが、そのかわいさ故にかえって子どもの関心を引いてしまいがち。1人が興味を持って触っているともう1人も近づいてきますから、もし外れた場合は感電の危険性が増す可能性があります。
コンセントは子どもが気づかないよう存在を消すのがベスト。コンセントカバーを利用するなら白いベーシックなタイプにしましょう。できれば家具を移動させて、家具でコンセントを隠してしまうのもおすすめです。
3-2. 角という角はすべてカバーする
「家具の角にカバーをつける」という方法は先ほど紹介しましたが、室内にある角は家具だけではありません。意外と盲点になるのが柱の角です。
戸建の場合は柱を出さないように自由に設計できますが、マンションの場合は構造上外せない柱が室内に出っ張っていることが少なくありません。つたい歩きの時はスピードが出ないのでぶつかることは少ないですが、自分1人で歩けるようになると2人がそれぞれ思うままに移動するようになるので、ママやパパ一人でお世話をする時に目が届かず柱にぶつかるということはあり得ます。
双子が勢い余ってぶつかっても大きなケガをしないよう、柱の出隅部分にカバーを取り付けておきましょう。座った時も立った時も対応できるよう、長さのあるカバーをつけておくと安心ですよ。
3-3. 床座生活に切り替えてみる
ソファやチェアなど、床からの高さがある家具は大人にとっては立ち座りがしやすいので重宝しますが、小さな子どもがいる家庭では事故の原因になりやすいです。高さが低めのロータイプに買い替えるのがもっとも安心とはいえ、双子育児でいろんなお金がかかる中で家具を買い替えるところまでは難しいものです。
家具は双子が成長してくればまた使えるのですから、実家に一時的に置かせてもらったりレンタルのトランクルームに保管したりして、1~2年ほど床座生活に切り替えるのもおすすめ。
床座生活とは座椅子や座卓、クッションソファなどを利用しながら床に直接座って過ごす生活スタイルです。和室というイメージがあるかもしれませんが、洋室でも厚手のラグやタイルカーペットを敷き込めば床座生活へ簡単にシフトできます。転落事故や衝突事故の危険性がぐんと下がって、それでなくても気を使いがちな双子育児の負担が少しでも減らせますから、ぜひ検討してみてください。
3-4.双子用スペースをつくる
家庭内事故を防ぐための工夫をいろいろ行ったとしても、大人も同じ空間で生活している以上限界があります。双子が注意すれば聞くような年齢になるまでは数年かかりますし、それまでずっとママやパパが双子に合わせてばかりいるわけにもいきませんよね。
おすすめしたいのは、双子専用のスペースをつくることです。市販されているベビーサークルを2つつなぐと大きなスペースが確保できるので、すべり台付きのジャングルジムを中央においても双子2人がゆったり遊べます。
これは筆者だけかもしれませんが、双子が1歳の頃に自宅での仕事を再開したものの、2人ともベビーサークルに入りたがらなくなってしまったので、逆にベビーサークルの中にデスクとサイドシェルフを持ち込み、私がサークル内に入って仕事をしていました。パソコンやプリンターのコードで双子が遊んで巻き込みなどを起こすリスクがありませんし、「ママより広い場所にいる!」とばかりに双子はご機嫌で遊んでいましたので仕事がずいぶん進みました。今注目のリモートワークが必要な双子ママや双子パパ、意外とこの方法はおすすめです!
関連記事:体調管理も育児のうち!体調不良を乗り越え双子を元気に育てるには?
まとめ
小さな子どもは、自分で動けるようになるほどそれがうれしくて、大人が思う以上に活発に動きます。大人から見れば単なる生活用品も、好奇心旺盛な子どもにとっては未知のものですから、口に入れたり触ってみたりしたいんですね。双子の場合は2人そろっていますから、ママやパパは十分注意しなければいけません。
こうした子どもの好奇心を妨げず、けれど安全に成長できる環境を住宅内につくってあげることが大切です。この記事で家庭内事故の基本的な知識をつかんで、ご家庭それぞれの条件に合わせて工夫してみてくださいね。