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出産したてのママに作ってあげたい!産後の回復や母乳トラブルに役立つ薬膳レシピ集

  • #母乳トラブル
  • #産後のダメージ

産後のお母さんは、大量の血液を失っています。

出産での出血だけはありません。赤ちゃんの体を作った栄養分は、すべてお母さんの血が含んでいた栄養分です。赤ちゃんが飲んでいる母乳は、すべてお母さんの血の栄養分から作られたものです。

つまり、産後のお母さんは、十何リットルもの血液を失っていると行っても過言ではないのです。

血は鉄分だけでなく大量のタンパク質からできている

貧血かどうかを診るにはよく鉄分を見ますが、産後のお母さんには鉄分補給だけでは十分ではありません。

鉄分をくるんでいる赤血球を作っているのはタンパク質です。その他免疫細胞、血小板、体中に運ばれる栄養素、ほとんどがタンパク質でできています。産後のお母さんには良質なタンパク質を補給することが必須なのです。

そこで、この記事では、良質なタンパク質を取れ、スーパーで買える食材で作れる産後の回復に役立つ薬膳レシピを紹介します。おまけに授乳トラブルに役立つ薬膳も紹介します。ぜひお役立てください。

産後の回復レシピ

鶏レバーの黒糖赤ワイン煮

貧血に効くものといえば、やはりレバーです。薬膳でもレバーは血を作る食材として知られています。黒糖も血を補う食材として知られており、同時に血の流れを良くするので、補った栄養を体中に回してくれます。栄養学的にはミネラルのかたまりです。赤ワインも同じく血行を良くする効果がありますよ。

材料:

鶏レバー200g

生姜1/2片

しょうゆ大さじ2

みりん大さじ1

赤ワイン100ml

黒砂糖大さじ1

サラダ油大さじ1

作り方:

・鶏レバーを一口大に切ってさっと水で荒い、水気を取る

・生姜をみじん切りにする

・フライパンにサラダ油をひいてレバーを中火で5分焼き付ける

・表面の色が変わったらしょうがを入れてさっと炒め、醤油~黒砂糖すべてをよく混ぜて入れる

・さらに5分ほど炒め、水分が少なくなったら器に盛り付けてできあがり

ささがきゴボウと豚肉のきんぴら

ごぼうには体力を補う力と、体の熱を取って乳腺炎などを予防する効果があります。豚肉には体力だけでなく、授乳で失った体の潤いを補い、母乳のもとになるタンパク質も補う効果があります。白胡麻も潤いとミネラルをたっぷり補給してくれます。

材料:

ごぼう1本

豚肉100g

胡麻油 小さじ1

酒・醤油・みりん 各大さじ1

すり白胡麻 小さじ1

作り方:

・ごぼうはささがきにして水に晒す

・豚肉は一口大に切る

・ごぼうの水気を切り、フライパンに胡麻油を敷いて熱してごぼうを入れ、水気がなくなるまで炒める

・豚肉を足して火が通るまで炒め、酒・醤油・みりんを加えてよく混ぜながら煮詰める

・汁気が飛んだら白胡麻をさっと混ぜて器に盛ってできあがり

牡蠣のすき焼き

牡蠣は海のミルクと言われるほど栄養豊富で、出産のダメージにも、母乳で取られていく栄養の補給にも効きます。豆腐も授乳で取られていく体の潤いを補い、良質なタンパク源となります。

ただ、豆腐は体を冷やすので、乳腺炎に悩んでいないときは、ネギで温めたり、温かくして食べたりすることを忘れないでください。春菊のような香味野菜は体のめぐりを良くし、補給した栄養が体をめぐるのを助けてくれます。

材料:

むき身の牡蠣:10個

白ネギ1本

豆腐1丁(焼き豆腐だと食べやすい)

春菊1束

醤油大さじ3

酒大さじ2

砂糖大さじ2

作り方:

・牡蠣を洗って水気を切る。大根おろしで和えると汚れが取れやすい

・豆腐、白ネギ、春菊は食べやすい大きさに切る

・鍋に調味料すべてと豆腐を入れて煮る

・煮立ったら野菜類と牡蠣を入れて軽く煮る

・牡蠣がふっくらしたら完成。煮えすぎると牡蠣が固くなる

鰻玉卵とじ

うなぎは古くからスタミナ食材として知られていますが、薬膳的に見ても血や潤いなどを補ってくれる優秀な食材です。卵も良質なタンパク源であり、血を補ってくれます。玉ねぎは血液のめぐりを良くして、体中に栄養を運んでくれます。

胃腸にあまり自信がなく、うなぎがもたれそうな人は山椒の一振りを忘れないように! お腹を温めて消化を促進してくれます。

材料:

うなぎの蒲焼2枚(タレが別についたもの)

玉ねぎ1個

卵2個

水200ml

酒大さじ4

青ネギ・山椒 1振りずつ

作り方:

・うなぎは4,5cmに切る

・玉ねぎは薄切りにする

・鍋に水、うなぎのタレ、酒を入れて混ぜる

・玉ねぎとうなぎを鍋に入れて火にかけ、玉ねぎに軽く火を通す

・卵を溶いて鍋に回し入れ、固まりかけたら器に盛ってできあがり

炊飯器鶏おこわ

もち米は母乳の出を良くする作用で知られています。体力回復にも効きます。ただ、母乳が詰まりがちな人は控えめにしましょう。鶏肉と人参は血を作る食材として知られています。ごぼうは上にも書いたとおり、体の熱を取って乳腺炎を防ぎます。最後に加える三つ葉は体のめぐりを良くして血のめぐりを助けてくれます。

材料:

もち米1.5合(母乳が詰まりがちな場合はうるち米と半々かうるち米のみで)

鶏もも肉1/2枚

ごぼう10cm

にんじん5cm

干し椎茸2個(切ってから干してあるもののほうが水に浸した時戻りが早い)

だし汁 干し椎茸の戻し汁と合わせて250~300ml

三つ葉 適量

酒大さじ2

醤油・みりん・塩 各小さじ2

作り方:

・米はといでざるに上げて吸水させておく

・鶏肉は一口大にそぎ切りする

・にんじんは皮のまま千切りにする

・ごぼうはささがきにして水にさらしておく

・干し椎茸は水につけて戻し、千切りにする

・干し椎茸の戻し汁とだし汁を合わせる

・炊飯器に三つ葉とだし汁以外をすべて入れ、だし汁を炊飯器の目盛りに合わせて入れる

・炊きあがったら細かく切った三つ葉をさっくり混ぜてできあがり

黒豆と豚肉肩の煮込み

黒豆は栄養学的には良質なタンパク源でポリフェノール源です。薬膳的には血を補い、また血の巡りを良くする食材として知られています。そこに潤いとタンパク質を補う豚肉が加われば最強です。また、玉ねぎは上にも書いたように、血の巡りを良くしてくれます。

材料:

豚肩ロース400g

蒸し黒豆 60g(市販の蒸し黒豆1袋分)

玉ねぎすりおろし 100g(大さじ6杯と少しくらい)

生姜すりおろし1片分

酒大さじ4

しょうゆ大さじ4

黒砂糖大さじ2

塩小さじ2/3

水100ml

作り方:

・豚肉は大きめの一口大に切る(火を入れると縮むため)

・玉ねぎ、生姜をすりおろす

・玉ねぎ、生姜、調味料をあわせてよく混ぜる

・豚肉を10分以上漬け込む

・豚肉をつけ汁から取り出す

・フライパンに油(分量外)を入れ、豚肉の汁気をきってから両面焼く

・つけ汁と水をフライパンに入れ、黒豆も入れる

・アルミホイルの落し蓋をしてとろ火で30分煮る

・肉を裏返して落し蓋をし、もう一度とろ火で30分煮る

・肉と黒豆を器に盛ってできあがり

きなこの黒糖豆乳

きなこは胃腸を元気にする食材でありながら重要なタンパク源でなり、血を補います。豆乳は体を潤しつつ、やはり重要なタンパク源となってくれます。黒糖は血を補いつつ血の巡りを良くしてくれますし、授乳で取られていくミネラルを補ってくれます。

材料:

豆乳300ml

黒糖大さじ1

きなこ小さじ1.5杯

作り方:

・豆乳を人肌に温めておく

・きなこと黒糖を加えてよく混ぜてできあがり

卵の雑穀粥

卵が体のタンパク質と潤いを補ってくれます。また、雑穀のミネラルが、授乳で取られていく血液中のミネラルを補ってくれます。もち米も体力回復に役立ち、母乳を出す力も持ちます。

もし手に入るなら、卵でなく棗8個を使い、黒糖を大さじ3杯ほど入れて作っても、デザート感覚の粥になって美味しいです。棗は果物ですが、血を補う作用があるとされています。

材料:

もち米1/4カップ

アワ1/4カップ

卵 2個

水1000ml

作り方:

・土鍋に卵以外をすべて入れ、蓋をずらし弱火で1時間以上炊く

・炊きあがったら溶き卵を散らしてできあがり

胡麻豆腐

これは作るより市販のものを買ったほうがはるかに簡単なので、買うことをおすすめします。黒胡麻は母乳の出を良くするだけでなく、産後の体力回復にも効きます。また、必ず本葛を使ったものを買ってください。本葛は体の熱を冷まして乳腺炎を防ぎます。

母乳トラブルレシピ(メイン食材の効能説明とレシピ詳細)

あまり出ない:豚足と長ねぎのスープ

豚足は母乳を出すのにとてもいい食材とされています。豚足自体があまリ好きでなかったら、じっくり煮込んで滋養が溶け出したスープだけでも飲んでみてくださいね。

材料:

下処理済み豚足2本

水1500ml

生姜1片

白ネギの青い部分1本分(香り付け、食べない)

白ネギの白い部分1本分(これは食べる)

塩 適量(好みの分量)

作り方:

・生姜を千切りにする

・ネギの青い部分と白い部分を分け、白い部分は一口大に切る

・豚足と水、生姜ネギを鍋に入れ、蓋をして弱火~とろ火で煮込む

・1時間以上煮てスープが白く濁ってきたら塩で味を調節してできあがり

あまり出ない:鮭の和風ポトフ

鮭は体力と血を補ってくれる重要な食材です。にんじんは血を補い、じゃがいもは体力をつけると同時に胃腸の機能を高めて栄養を吸収しやすくしてくれます。玉ねぎも血の巡りを良くしてくれます。

材料:

コンソメ適量

切り身鮭2切れ

じゃがいも小2つ

にんじん1/2本

玉ねぎ1/2個

酒・みりん 各大さじ1/2

水600ml

作り方:

・鮭を一口大に切る

・じゃがいもと人参はよく洗って皮をむかず乱切りにする

・玉ねぎは皮をむいてくし切りにする

・鍋に水とコンソメを入れてだし汁を作る

・根菜類を入れて中火にし、沸騰したら弱火で15分煮る

・鮭、酒、みりんを加えてさらに15分煮る

・器に盛ってできあがり

詰まる:えんどう豆と鶏肉の豆乳スープ

えんどう豆は体のめぐり、特に水のめぐりを良くする作用があります。豆乳は体に潤いを与え、ドロドロになった母乳をサラサラにするのを助ける働きがあります。玉ねぎも血の巡りを良くして母乳の詰まりを解決するのを助けます。

材料:

鶏ささみ150g

えんどう豆(冷凍)250g

玉ねぎ1/2個

水300ml

固形コンソメ1個

豆乳

塩・胡椒 適量

作り方:

・鶏ささみは筋をとって食べやすい大きさに切る

・玉ねぎは薄切りにする

・鍋に水・えんどう豆、玉ねぎを入れて火にかける

・沸騰したらコンソメを加えて具材が柔らかくなるまでよく煮て、一度費を止める

・具材の粗熱を取る

・フォークかマッシャーで具材をよく潰す。あればミキサーかフードプロセッサーに具材を移して細かくする

・具材を火にかけて、豆乳とささみを入れる

・ささみに火が通ったら完成

詰まる:食用菊と小松菜の煮浸し

小松菜には体の熱を取って血液のめぐりを良くする作用があります。食用菊も体の熱を取り、体のめぐりを良くする作用があります。食用菊は手に入りにくいので、小松菜だけで作ってもいいのですが、手に入ったらぜひ食用菊を使ってみてください。

材料:

食用菊4,5個

小松菜1/2束

酢小さじ1

だし汁100ml

みりん大さじ1

醤油小さじ2

塩 少々

作り方:

・食用菊は色止めをしておく。酢を入れた熱湯に花びらだけくぐらせ、水にとって粗熱が取れたら水気を絞っておく

・小松菜は根本の泥をよく洗う(十字に切れ込みを入れると取れやすい)

・小松菜を長さ3cmに切る

・だし汁に調味料をすべて入れ、沸騰させる

・小松菜を入れてひと煮立ちさせる

・火を切ってから食用菊を入れ、よく混ぜる

・器に盛って完成

母乳に良いおやつ・お茶

あまり出ない:かぼちゃの種

かぼちゃの種は昔から母乳の出を良くするとされています。黒砂糖の蜜をかけて炒って甘くしてもおいしく、母体の回復にも良くなります。

あまり出ない:薄皮付き落花生

油を使ったピーナッツは避けたほうがいいです(乳腺炎防止のため)。薄皮に特に血を補う作用があると言われているので、必ず薄皮ごと食べてください。炒ったものでも茹でたものでも効果は同じですが、茹でたもののほうが消化に良いです。

詰まる:小豆茶

小豆茶は体の水分代謝を強烈に良くする茶とされています。血行を良くして水分循環を良くするためです(サポニンによるものとされています)。この効果で母乳のつまりも和らげてくれます。

詰まる:焙煎たんぽぽ茶

たんぽぽ茶も小豆茶と似たような原理で母乳のつまりを和らげます。ただし、たんぽぽはそのままだと、かなり強く体を冷やす作用があるので、冷えやすい人はたんぽぽを炒ってたんぽぽの冷やす性質を和らげた焙煎たんぽぽ茶をおすすめします。

産後1ヶ月は養生の時期

臨月のお母さんの体は、内臓も骨格も、赤ちゃんを入れておくためにびっくりするほど変形しています。産後1ヶ月は、その変形した体がもとに戻るための養生の時期です。この時期に無理をすると、更年期に至るまで体に様々な支障が出ます。

ですから、上に上げた薬膳レシピはお母さんが作るのではなく、他の誰か、できればお父さんが作ってあげてください。そのために、できる限り難しくないレシピを並べ、わかりやすく作り方を書きました。それほど気負わずに、けれど心を込めて、ぜひ作ってあげてください。

参考図書

『食べる漢方』(マガジンハウス 櫻井大典)

『クスリごはん ゆるゆる漢方』(リベラル社 櫻井大典 ねこまき)

『薬膳・漢方の母子健康帳』(実業之日本社 薬日本堂)

『身近な食材ですぐできる 幸福薬局の若返り薬膳レシピ』(河出書房新社 幸井俊高 幸井由紀子)

『食養生の知恵 薬膳食典 食物性味表』(燎原書店 日本中医食養協会 日本中医学院)

この記事を書いたライター

かぞいろは編集部さん

かぞいろは編集部は20〜30代の男女4名体制で記事の企画や制作を行っています。育児にゴールや正解なんてない。頑張ることが当たり前で、誰かが褒めてくれるわけでもない。だからこそ育児の輪を自分たちで広げていきたいなと思っています。

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