妊娠中には、子育てに対していろいろなイメージをしたと思います。もちろん子育ては、簡単なものではないということは、わかっていたでしょう。しかし、出産し我が子にようやく会えた喜びもつかの間。想像以上の壮絶な日々に圧倒されてしまうママも少なくありません。3時間のおきの授乳に1日10回以上のおむつ替え、どんなにあやしても泣き止まない赤ちゃんに途方にくれることも。
もちろん、ママの仕事はそれだけではありません。赤ちゃんがいることで、当たり前のように行っていた掃除も今まで以上に気を使い、料理に洗濯。1日24時間では足りないほどに「やらなきゃいけないこと」は溜まっていきます。唯一の休息であるはずの夜の睡眠でさえ、まとまった時間を確保することは出来ません。3時間おきに、お腹を空かせては泣く赤ちゃんへの夜間授乳。
寝不足の生活を送っていると、いつの間にか赤ちゃんのことを可愛く思えなくなってしまうママもいるほどです。そんな自分に対して自己嫌悪に陥ることも。今回は、産後の寝不足でいっぱいいっぱいになっているプレママに、少しでも子育てや生活が楽になる工夫を紹介します。
目次
①ママの寝不足はいつまで続くの?

夜間授乳が頻繁で寝不足が続くのは、平均3ヶ月と言われています。赤ちゃんも3ヶ月を過ぎると、新生児期も終わり首も座った頃には夜の睡眠が少しずつ長くなってきます。
もちろん個人差はありますが、多くの赤ちゃんは3ヶ月を過ぎた頃から夜に寝かしつけるといつの間にか「朝になってる…」と思えるようになるのです。出産のダメージが残る満身創痍の体にはきついかもしれませんが、寝不足が続くのは最初に3ヶ月と頭の片隅に置いておくだけで気持ちは変わってきます。
赤ちゃんのお世話に溜まっていく家事。なかには赤ちゃんが泣き止まず、食事も座って食べられないなんておうちだってあります。そんな中でも子育てママが一番つらいと感じるのは「寝不足」。赤ちゃんが昼夜問わない授乳で寝不足の日々が続きます。いつになったら寝られるようになるのか、この寝不足がいつまで続くのか。産後のママは2時間から3時間の細切れの睡眠になってしまいます。

寝不足が続いてしまうと、感情のコントロールが難しくなり、些細なことでイライラしてしまうことがあるのです。産後間もない時期のママの平均睡眠時間は、4時間程度だとされていますが、この睡眠時間も自分の好きな時間に寝られるわけではありません。
いつ泣き出すかわからない赤ちゃんのそばで、ママは赤ちゃんが少し泣くだけで、赤ちゃんが少し咳をするだけ目が覚めてしまいます。まずは、産後の3ヶ月。3ヶ月を過ぎれば、少しはマシになるのでがんばって乗り切りましょう。
②寝不足の解消法
人間の三大欲求の中で、最も重要といってもいい睡眠は、健康な体、正しい判断力の基盤となります。しかし、産後のママはそんなこといっていられませんよね。睡眠不足が続き、日中に頭がぼーっとしてしまうこともあると思います。そんな睡眠不足を乗り切るための解消法をいくつかご紹介します。
赤ちゃんと一緒に昼寝をする
日中、赤ちゃんがお昼寝をしている間に一緒に寝ましょう。赤ちゃんが寝ている間に「家事を済ませよう」「食事の準備をしよう」と思うかもしれませんが、まずは体力回復が大事。お昼寝は少しの時間でも、頭をすっきりされてくれる効果があります。15分でも構いません。働かない頭で家のことをするよりも、少しの時間を睡眠にあてて、体力を回復させた方がその後の家事も効率的です。

赤ちゃんが小さなうちは、無理に家事を完璧にこなす必要はありません。赤ちゃんと一緒に昼寝をすることは、怠惰なことではないのです。自分の出来る範囲だけのことをして適度に手を抜きましょう。
パパのお休みの日に一人の時間をもらう
四六時中赤ちゃんと一緒では、睡眠時間でさえママは気を張った状態です。それでは、心も体も十分に休まりません。週に一度でもいいので、パパに赤ちゃんを見てもらい寝室で「一人の時間」を確保しましょう。
この時間は、寝るために使う必要もないので、自分の好きなことだけをしてください。本を読むでもテレビを見るでもSNSをぼーっと眺めるでも、なんでもいいのです。赤ちゃんのことを気にしないで好きなことが出来る時間は、心と体のリフレッシュになります。

しかも、赤ちゃんをパパ一人に見てもらうことで、パパ自身が親としての自覚をもてるようになるのです。日中一緒に過ごす時間のないパパは、ママに比べて「親」という意識を持ちにくいもの。また、たった一人で赤ちゃんの命を預かる責任の重さを感じてもらうことも出来ます。夫婦でお話する時間を設けて「1人の時間を作ってもらうこと」について、ぜひ話し合ってみましょう。
関連記事:【旦那イクメン化計画】新米パパの意識を変える4つのステップ
実家や周りに頼る
自分の実家が近い場合には、協力を要請しましょう。パパがハードワーカーの家庭では、パパの協力を得られないこともあります。そんな時にはおじいちゃん、おばあちゃんの力を借りてみてください。

産後間もない時期は、ママ自身「母親になったんだから自分でしなきゃ!」と思うかもしれませんが、子供を一人で育てるのは想像以上に困難なこと。どうしても寝不足でつらいなと思う時には、周りに頼るようにしましょう。孫に会えるのはもちろん、頼られるおじいちゃん、おばあちゃんたちもきっと嬉しいはずです。
③赤ちゃんのことを可愛くないと思ってしまう…
睡眠不足が続いてしまうと、自分の大切な可愛い赤ちゃんのはずなのに、可愛く思えない瞬間が出てきてしまうことがあります。そんな感情を持ってしまうことに「母親失格だ」と、自己嫌悪に陥ってしまうママも少なくありません。個人差はありますが、実は多くのママが経験したことのある感情でもあります。ようするに「寝られない」というのは、そういうことなのです。
普段なら出てこないような感情までもが、こみ上げてきてしまう睡眠不足を甘く見てはいけません。また、赤ちゃんを抱えたママには睡眠不足だけでなく「責任」や「プレッシャー」も背中に重くのしかかっています。
- 「ちゃんとした子に育てなければいけない」
- 「怪我させてはいけない」
- 「風邪をひかせてはいけない」
赤ちゃんの命は、ママが守っているからこそ、その責任とプレッシャーで、ママはいつでも気を張った状態になっています。気の休まる時間がなければ、精神的にも当然疲れてしまい、思ってもいないような感情が生まれてしまうのです。
「そんなこと思ってしまう私は母親失格だ」と思うのではなく、「今だけだ」と割り切って考えるようにしましょう。当たり前ですが、子供のことをいつまでも可愛くないと思うママはいません。
夜の睡眠時間も安定し、産後の体も回復した頃、ある日突然「なんて可愛いんだろう」と寝顔を見続ける日が必ずやってきます。今の感情に自己嫌悪を感じずに「そう思うのは今だけ」と、あまり気にしないようにしましょうね。
④どうしてもイライラしてしまう時にはどうすればいい?
四六時中赤ちゃんの泣き声を聞き、寝る時間もなく、食べることもままならない時、人間ですからどうしてもイライラしてしまうこともあります。小さな赤ちゃんについ八つ当たりしてしまいそうになる瞬間があるかもしれません。どうしてもイライラが収まらない時には、どうすればいいのでしょうか?
一旦赤ちゃんと離れる
隣の部屋でも脱衣場でもトイレでも、どこでも構いません。一旦、赤ちゃんのそばを離れてください。泣き止まない赤ちゃんを、ずっと抱っこしておく必要はありません。少しの時間でもいいので、そばを離れ深呼吸をしましょう。
ドア越しに赤ちゃんの泣き声が聞こえるかもしれませんが、ゆっくりと深呼吸をして気持ちをリセットしてください。すると、気持ちを切り替えることができて、泣いている赤ちゃんに心の余裕を持って対処することができます。
ここで気を付けなければいけないのが、赤ちゃんのそばを離れる時です。赤ちゃんの周りに危険なものがないことを必ず確認してください。まだ新生児期の頃は、ガーゼ1枚が命に関わることもあります。一旦離れるとしても家から出てはいけません。あくまで視界から外れる程度の距離にしましょうね。
抱っこをやめる
赤ちゃんが泣いていると、ママはどうしても「抱っこしてあげないと」と、思ってしまいます。しかし、赤ちゃんが泣いているからと、ずっと抱っこをしておく必要は、実はありません。

授乳も十分にして、おむつも汚れていないのを確認しても泣いている場合には、ベビーベッドに下ろしましょう。ずっと抱っこした状態なのに泣き止まないと「抱っこしているのにどうして?」と思いますよね。実は赤ちゃんには、理由がないのに泣いている場合だってあります。泣いている赤ちゃんをベビーベッドに寝かせて、少しの時間泣かせておきましょう。
赤ちゃんは泣くことで体力が付き、肺も強くなります。「今、この子は泣いて筋トレをしているんだ!」くらいの感覚で大丈夫です。赤ちゃんは泣くのが仕事と思えば、泣いている赤ちゃんも成長中なんだなと思えるようになります。
パパに託す
もし、その場にパパがいれば、バトンタッチしましょう。まだ生まれて間もない時期の赤ちゃんは、誰が抱っこしても泣くときは泣きます。ママが抱っこしても泣くなら、パパに抱っこしてもらっても問題はありません。パパが見てくれている間、10分でもいいので外に出てみてください。

近くのコンビニでコーヒーを買って、少しリフレッシュしましょう。まだ寝返りもしないくらいの赤ちゃんのママは、周りが思っている以上に外の空気を吸えていません。
夏なら「外は暑いから」、冬なら「外は寒いから」と、外に出る時間は圧倒的に少ないのです。パパに託して、お散歩にでも出かけましょう。帰ってきた頃には、赤ちゃんは泣き疲れて寝ているかも。可哀そうと思うかもしれませんが、ママがリフレッシュ出来ていれば赤ちゃんが起きた頃には、また優しい気持ちで向き合うことが出来ます。
関連記事:新米パパ・ママの新生児夜泣き対策法
⑤授乳で寝かしつけるから夜中に何度も起きる?
よく添い乳をすると、夜中に起きる回数が増えると聞きますよね。これは、寝るときに咥えていたはずのおっぱいがなく、夜中に目が覚めた時におっぱいを咥えていないことに対して泣くからと言われています。
もちろん、それには一理ありますが、まだ生後半年くらいまでは、授乳で寝てしまうものです。お腹がいっぱいになれば、眠くなるのは大人も子供も一緒。寝かしつけを抱っこやトントンでするのは、生後半年から1歳くらいの間でいいでしょう。
ただ、生後半年未満でも夜中に目を覚ましたからと、すぐに授乳をするのではなく、抱っこして優しく声をかけてみてください。夜中にお腹がすいて泣いている場合は、しっかり授乳はしてあげましょうね。
夜中に赤ちゃんが泣いたときによく観察していると、お腹が空いて泣いているのか、口さみしくて泣いているのか、徐々にわかるようになってきます。赤ちゃんが求めるもの見極めていくと、寝かしつけも夜中の授乳も少しずつ楽になっていくでしょう。
「ネントレ」という言葉を聞いたことありませんか?「ネントレ」とは「ネンネトレーニング(ねんねトレーニング)」の略です。どういったことかというと、睡眠に入る時に決まった儀式をして睡眠を促す方法です。
儀式というと、固く感じるかもしれませんが、内容は何でもOK。「ネントレ」をしておくと、その儀式で自然と眠たくなるので早いうちから始めておくことをおすすめします。
→おすすめ記事:【ねんトレ】一人ひとりに合った練習で夜泣きが改善
寝る前に絵本を読む
お布団に入ってから、絵本を2冊読むなどと決めて読みます。どんなに時間がなくても、必ずするようにしましょう。始めは絵本を読んだからと眠くなりませんが、習慣化することで睡眠を促すようになります。絵本を読むときには、部屋は少し暗くしておきましょう。

お気に入りのぬいぐるみを抱っこ
これはぬいぐるみでなくても大丈夫です。好きな手触りのタオルケットやガーゼでも構いません。夜寝るときに、握るようにします。

ここでのポイントは、お気に入りのぬいぐるみを決めたら、そのぬいぐるみは寝る時専用にすること。寝室に常に置いておいて、寝る前に「あのぬいぐるみがネンネの部屋で待っているよ」と声掛けをして寝るようにしましょう。小さなうちからどんなものがいいか、お気に入りを探しておくといいかもしれませんね。
ハグタイムを作る
赤ちゃんは眠りに落ちる時、意識が遠くなることを怖く感じることがあります。その恐怖が寝ぐずりに繋がることがあるといわれています。寝る前にいっぱい抱っこしたり、ハグしたりして赤ちゃんが安心して眠れる心構えをしてあげましょう。
「おやすみ」というだけでなく、寝るときに合言葉を作るのもおすすめ。「ぐっすり眠って元気になーれ」「明日も〇〇ちゃんが好きなことたくさんできますように」など、どんなことでもいいので、寝る前のハグタイムと一緒に合言葉を言って眠りにつくようにしましょう。
⑥先輩ママの体験談

子育てをしていると、「こんな思いをしているのは自分だけだ」と思ってしまいがちです。赤ちゃんがまだ小さなうちは、周りとの関係も気薄になってしまいます。相談できる相手もいない状態だと、ママはどんどん孤独を感じてしまいます。最近こそよく耳にするようになった「孤育て」。周りの先輩ママたちも同じような経験をしているものです。ここでは、先輩ママの体験談を紹介します。
完全なワンオペ育児
うちはお金に余裕がなく旦那は休みなしで働く毎日。子育てはすべて私の仕事。どんなに寝不足でも協力してもらえずに孤独でした。今では子供も大きくなり、あの時のことを懐かしく思えますし、子供の成長を改めて感じることが出来ます。
(19歳で妊娠、20歳で出産をした元お弁当の配達スタッフ)
夜泣きの日々
我が子は夜泣きが激しく毎晩泣いていました。本当に毎晩、それも何時間も。夜中にいつ泣き出すかビクビクしながら子供の横で寝ていたのでしばらく熟睡はできなかったなぁ。夫も協力してくれず、子供と一緒に泣いてしまうことだってありました。そんな夜泣きもいつしかなくなり、朝までぐっすり眠れるようなった頃からメンタル面が安定してきたかな。それも一つの思い出として、子供がもう少し多くなったら話をしてあげようかなと思っています。
(24歳、現在11ヶ月の息子さんを子育て中の元営業事務)
子育ての経験のあるママは、誰しも少なからず経験したことのあることなのかもしれません。周りの友達や自分の親に話を聞いてみると、意外な話が聞けるかも。だれしも経験することなのだと思うことが出来れば、少しは気が楽になります。
→おすすめ記事:【ねんトレ】一人ひとりに合った練習で夜泣きが改善
⑦生後半年が最も過酷な子育て期

産後のママは、出産で負ったダメージも回復しないままに満身創痍の状態で慣れない子育てに突入します。右も左もわからない状態でスタートした子育てには、容赦ない壁がいくつも立ちはだかります。
傷の癒えない体に寝不足の日々。キャパオーバーになって当然です。すべてを投げ出したくなる気持ちになることだってあるはずでが、そんな日々もあっという間に過ぎていきます。
気付けば寝返りをして、いつの間にかお座りが出来るようになり、立っては歩き、すぐに走り出します。子供の成長は、親が時に寂しくなるほどに早いものです。子供の成長を感じた時、きっと寝不足だった日々を懐かしく思う日が来ます。
自分が子どもの頃そうだったように、朝起こしても起きないほどに寝る時がやってきます。だからと言って今が楽になるわけではありませんが、子供の世話をしながら一緒に過ごせる日々には限りがあります。
どんなに過酷な日々でも必ず「そんなこともあったね」と思う日が来ます。無理な時には無理と吐き出すことも、もちろん大事。時に息抜きをしながら、周りの力も十分に借りて、限りある子供との時間を大切に過ごしましょうね。
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