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双子授乳はマイスタイルで~ラクに授乳するために工夫しよう!

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双子育児の中でも頭を悩ませることが多いことのひとつに、授乳があります。出産直後から離乳や卒乳までの間、他のお世話の合間を縫って毎日何度も行うことだけに、ママの負担は大きいですよね。

一般論が通用しない双子育児の中でもハードルが高い授乳ですが、ママと双子の大切なコミュニケーションの時間でもあります。そこで今回は、双子への授乳のコツと注意点、おすすめアイテムについて紹介します。

1.双子の授乳はまさに終わりなき闘い!だからこそ大切なこととは?

妊娠中から何となく「双子の授乳ってどんな感じなんだろう」という不安を持つママは多いのではないでしょうか。まずは、双子の授乳が始まる前にこれだけは知っておいて欲しいというポイントをお伝えします。

1-1.母乳マッサージはしなくてもいい

妊娠中は、自治体や病院のマタニティスクールで産後の生活についてレクチャーを受けるのが一般的です。産後に母乳が出やすいよう、母乳マッサージの方法を教えてもらうことも多いですね。

しかし双子ママの場合は、一般的な妊娠よりも母体にかかる負担が大きいので、病院によっては母乳マッサージは産後受けるよう指導するケースも多いです。刺激によって子宮が収縮し早産につながる可能性があるためです。

「それでは母乳が出ないんじゃないか」という不安があるかもしれません。しかし、そもそも臨月まで妊娠を維持すること自体大変な状況なのですから、産後の生活よりまず妊娠中の生活を維持して1日でも長く赤ちゃんをお腹の中で育ててあげることが何より大切です。

筆者の場合、安定期に入った直後に切迫早産の大ピンチが訪れ、約1ヶ月半の安静生活を強いられたこともあって、病院から母乳マッサージについて一度も説明を話を受けたことはありませんでした。同室の双子ママも同様で、産後に母乳が出る出ない以前にとにかく妊娠を継続して無事に出産することで頭がいっぱい。

「妊娠中からおっぱいケアをしましょう」といった情報が雑誌やネットにもよく出ていますが、それはあくまでも体調に大きな問題がない妊婦さんに向けたものです。常に早産の危険性を抱える双子ママには当てはまらない、当てはめなくていいと考えてくださいね。

1-2.産後すぐにおっぱいが出るとは限らない

女性の体は、出産で胎盤が排出されると母乳が出やすくなるようなホルモンバランスに変わっていくと言われています。ただしその切り替えには個人差があり、産後すぐに母乳が出る人もいればなかなか出ない人もいます。

出産してから退院するまでは平均5~7日ですが、その間に母乳が出るようになるかは人によって違います。うまくおっぱいをあげられないとママとしては辛いですが、そこで思い詰めてしまうとストレスでさらに出なくなってしまうので、「いずれ出るようになる」と前向きに考えましょう。

筆者は退院までの5日間、ほとんど母乳は出ませんでした。夜間は母子同室でしたから双子のうちの1人が毎晩部屋にやってきましたが、ほとんど出ないので子どもはお腹を空かせてしまってずっと泣きっぱなしでした。筆者が入院していた病院は母乳に関してはスパルタでしたから、「どうしても出ない場合はナースステーションにミルクを取りに来てください」と言われていたものの、いざ行くと「あと1時間頑張ってみて」と言われてミルクをもらえないこともしょっちゅう。

同室のママたちに迷惑をかけないよう、新生児ベッドを押してあやしながら病院の廊下をぐるぐる歩いているうちに、情けなくてつい涙が出てしまったこともあります。

母乳が出にくいのは、生まれたばかりの赤ちゃんが乳首をうまくくわえられない、吸って飲むだけの力がないといった理由もある事を知ったのはずいぶん後のこと。親子がともに慣れていけば出やすくなっていくので、ママが落ち込む必要はまったくないのです。

お互いに時間をかけて、おっぱいをあげること、飲むことに慣れていけばいいのですから、産後すぐに授乳がスムーズにいかないとしても自分を責めないでくださいね。

1-3.授乳グッズはスタートしてからそろえる

双子の授乳は、一般的な方法よりも工夫がいるのは確かです。1人ずつ時間差で授乳できるならいいのですが、同時に泣いたり1人に授乳している最中にもう1人もお腹をすかせることがあるので、常に同時授乳する想定で準備をしておく必要があります。

ただ、どういったスタイルが授乳しやすいかはママによって違うもの。ママ1人でお世話をする時間が長いのか、パパや祖父母など一緒にお世話できる人が一緒にいるのかによって必要なグッズも異なります。今はショップやネット通販などですぐに必要なものが購入できますから、出産前からいろんなグッズをそろえるのではなく育児がスタートしてから必要なグッズを購入するのがおすすめですよ。

2.双子の授乳の悩みあれこれ

出産直後から双子の世話に追われる双子ママにとって、授乳は思うようにいかないことが多いことのひとつです。一般的な育児情報が当てはまらないケースもあり、ほぼ手探りでお世話をしていくというのが現状です。

双子への授乳において、特に起こりがちな悩みとはどういったものなのかを見ていきましょう。

2-1.母乳が足りない

双子への授乳に関する悩みとしてほぼ100%出てくるのが「母乳が足りない」というものです。赤ちゃんが2人いてもママは1人ですから、物理的に量が足りなくなるのは自然なことですが、ママへの負担はかなり大きいと言えます。

母乳が足りないという量の問題を解決するには、市販の粉ミルクを併用した混合育児にするのがもっとも簡単です。今の粉ミルクは栄養バランスが整っていますし、哺乳瓶でミルクを飲む習慣をつけていればママ以外の家族が授乳できるので万が一ママが体調不良になっても心配せずにすみます。

また、赤ちゃんたちをクッションで固定して哺乳瓶で同時に2人に授乳できますし、外出先でもベビーカーに乗せたまま対応できます。必ずしも抱っこして授乳する必要がなくなるだけに、ママは楽になりますよ。

徐々に授乳に慣れてくれば母乳の量が増えてくるかもしれませんから、無理をせず、また母乳にこだわりすぎずミルクを上手に活用しましょう。

2-2.ママの身体的負担が大きい

赤ちゃんへの授乳は約3時間おき、これは定番の法則ですね。双子の場合は2人の赤ちゃんに対応しなければいけないので、出産直後から離乳食が始まるまでの約半年間はお世話の中で授乳にかかる時間がもっとも多いと言えます。

産後すぐはママも、そして赤ちゃんも慣れていませんから1回の授乳時間がどうしても長くなりがちです。体のメカニズム的に赤ちゃんが吸う刺激によって母乳はつくられるので、たとえ出が悪くても吸わせ続ける必要があって1時間くらい抱っこしたままということも少なくありません。

その状態が2回で1セットですが、生まれたばかりの赤ちゃんには大人のような時間感覚はないので、うまく飲めなくてお腹がすけばすぐ泣きます。つまり「3時間おきに授乳」という法則は、双子の授乳においてはあってないようなものです。

筆者の場合、あまりに授乳回数が細切れだったので「もうずっと胸を出したままでいいや」と思ったくらいです。胸元を直す暇もないくらい、ずっと双子のどちらかを抱っこしていましたね。

もちろん母子ともに少しずつ上手になっていくので1回の授乳時間は短くなっていきますしリズムもできてくるのですが、できるだけ母乳を飲ませたいと思って頑張りすぎていると、乳首が切れたり赤ちゃんの唾液で皮膚が荒れたりします。何時間も抱っこしていますから肩や腕が筋肉痛になりやすく、日夜を問わずこうした生活が続いて睡眠不足になっているので疲労も大きくなります。

経験者としては、できるだけ身体的な負担を減らすために添い乳はひとつの方法だと思います。雑誌やネットでは、赤ちゃんが窒息する危険性や母乳が逆流して中耳炎になりやすいのでよくないと書かれていますが、バスタオルなどで高低差をつけるなど配慮をしていれば問題ありません。

それよりも、ママができるだけ体力を使わずに授乳できて赤ちゃんのお腹をしっかり満たしてあげることのほうが大切ですよね。

2-3.母乳とミルクのバランス

母乳だけで双子の授乳を100%カバーするのが難しい場合、ミルクを併用した混合育児を選ぶことになります。混合育児においてつい悩みがちなのが、母乳とミルクのバランスです。

ほぼ同時に生まれてきた双子を同じように育てたいと思うママやパパは多いもの。しかし、タイミングやママの体調などによってどちらかがミルク授乳ばかりになるということもあり得ます。最近は少しずつ薄れてきていますがまだ母乳神話は根強く残っていることもあり、ミルクが続くとつい気になってしまうというママやパパは多いでしょう。

しかし双子と言っても赤ちゃん1人1人には個性があります。体調や好みもそれぞれ違いますし、飲み方の上手下手や食欲の差もあって当たり前。きちんとお腹がすいたときに授乳してあげているなら、母乳であってもミルクであってもOK。母乳にこだわりすぎてストレスをためないようにしましょうね。

2-4.授乳のタイミング

授乳のタイミングも、双子の授乳においては頭を悩ませがちです。赤ちゃん1人ならお腹をすかせた時が授乳のタイミングですが、日中ママが1人で双子をお世話している場合はどちらかを待たせることがあるからです。

あらかじめ同時授乳をするつもりで準備していればいいですが、1人に授乳している途中でもう1人が泣きはじめたりすると、授乳を終えてからでないと対応できません。母乳の出が悪ければミルクをつくる時間も必要ですからすぐに飲ませてあげられるとは限りません。待たせるということに罪悪感を覚えるというのは、双子ママなら必ず経験することです。

双子育児においては、授乳に限らずどちらかを待たせる機会はどうしてもあります。待たせることに罪悪感を覚えるのは自然な感情で、それだけ愛情がある事の証しです。もしミルクならお湯で溶かせばいいところまであらかじめ2人分を準備しておくなど、できる準備をしておきましょう。

授乳が必要な時期の赤ちゃんたちは、その行動の多くが本能によるもので「お腹がすいたから泣く」というのも条件反射のひとつです。少し待たされたとしても、お腹が満たされれば満足してくれます。

1人で2人の赤ちゃんをお世話する、それだけでママは十分に頑張っています。罪悪感を持つのはやめて「もうちょっと待ってね」と話しかけてあげながら待ってもらう、それでいいんですよ。

3.双子の授乳はできるだけ体力を使わない方法を模索しよう

出産前に少ない情報を集めるたびに「双子の授乳って辛そう」「私にできるかな」と考えてしまう双子ママは多いと思います。そして実際に育児に突入すると、お世話に追われて疲れ果ててしまう日も何度となくあるでしょう。

心身共に疲れがたまると、ますます母乳が出にくくなったり乳腺炎などのトラブルが起こりやすくなりますから、肩の力を抜いて取り組める授乳のコツをつかむことが大切。双子の授乳のコツを母乳とミルクそれぞれの場合でまとめてみましたので参考にしてくださいね。

3-1.母乳の場合

母乳で授乳する際のもっとも大きな難関は「2人同時に泣いた時の対処法」、これに尽きます。クッションを使って2人を寝かせてママが覆いかぶさるようにして授乳するスタイルがありますが、この体勢はかなりつらい上に動きがぎこちない赤ちゃんをフォローするのが大変。

首がまだすわらない生後3~4ヶ月頃までは、ママがソファなどに座って三日月形の授乳クッションを2つ腰に回し、その上に赤ちゃんを仰向けに乗せて授乳するフットボール抱きがおすすめです。

ただしこの方法はそばに誰かサポートしてくれる人がいないとセッティング自体難しいです。また、生まれたばかりの頃はママも慣れていませんし赤ちゃんのお腹がすくリズムもバラバラですから、1人ずつ抱っこしておっぱいをあげるほうが安心でしょう。

首が座ってきて吸う力も強くなってきたら、フットボール抱きが楽になります。赤ちゃんたちの腰がしっかり座ってくれば縦抱きもできるようになりますので、時間を決めて授乳するのもいいですよ。

3-2.ミルクの場合

母乳との混合授乳、もしくはミルク授乳で育てる場合も、初めは母乳授乳と同じく2人が同時に泣いた場合がもっとも悩ましい問題ですね。ただし母乳とは違って哺乳瓶を使える、つまりママの体を酷使せずにすみますので、ママの体調に関係なく授乳できる分対応しやすいです。

1人ずつ授乳するならできるだけ抱っこしてあげるとして、同時授乳するなら首が座るまではクッションを使って体を起こしてあげると、ミルクをあげやすいです。口から耳にミルクが流れて中耳炎にならないよう、口元より耳が高い位置になるように角度をつけるのがポイントです。

関連記事:【母乳・ミルク】赤ちゃんのミルクの量の平均はどれくらい?

4.授乳時に有効活用したいアイテム3選

双子の授乳はその時々の状況に合わせて臨機応変に対応する必要があります。常に抱っこしてあげられるわけではないだけに、赤ちゃんの癖や授乳のタイミングなどによって授乳しやすいスタイルを試行錯誤しながら見つけていくといいですね。

1人ずつ授乳する場合は一般的な授乳アイテムが便利ですが、同時授乳の際に活用できるアイテムは実は日常生活の中にあります。おすすめのアイテムを3つ紹介しましょう。

4-1.クッション

双子の授乳に必需品である授乳クッションは、一般的には三日月形ですよね。フットボール抱きで双子に授乳する場合はママの腰にはめて使うと便利ですし、逆に赤ちゃんの体を中心のホール部分に入れて座らせると姿勢が安定してミルク授乳がしやすいです。

これ以外に、薄手の抱き枕やビーズクッションといった市販クッションで代用できます。抱き枕は長さがありますから双子を並んで寝かせることができますし、ビーズクッションはほどよいやわらかさがあって赤ちゃんの体重で自然と体が包み込まれますから、安定性は抜群です。

4-2.タオル

混合授乳やミルク授乳でクッションに座らせた時、ママやパパがずっと2本の哺乳瓶を支え続けておくのは意外と体力を使います。しかも両手がふさがっていますから、どちらかが途中で吐き戻したりなかなか飲まなかったりぐずったりした時に対応しにくいです。

哺乳瓶を支えるようにタオルを使って山をつくると、哺乳瓶が安定するのでママやパパが支えていなくても赤ちゃんはミルクを飲めます。そばについて見守っていればすぐにフォローしてあげられますから安心ですよね。

何よりママやパパが体力を使うことなく楽に同時授乳できますので、慣れてきたら試してみてください。

4-3.バウンサー

時には双子が同時にぐずって授乳どころではなくなるという時があります。本当は2人とも抱っこしてあげたいですが、ママが1人だとできませんからジレンマを感じることもありますよね。

筆者もよく2人同時に泣かれたことがありましたが、その時は両脚を伸ばした間に1人を寝かせてゆらゆら揺らしてあやしながら、もう1人を抱っこして授乳していました。この両脚の間という位置が我が子たちは意外にもお気に入りで、割と機嫌よくなってくれることが多かったです。

しかしそれでもダメな時はダメなので、最終兵器としてバウンサーを使っていました。1人を抱っこしていても足で揺らしてあげられるので、フットボール抱きをする元気がなく授乳を待たせる時によく利用していました。ただし、普段からバウンサーに寝かせて慣れさせておく必要はありますね。

足で揺らすのは行儀が悪いですが、行儀よりも双子に授乳するのが先。揺らしている間に寝てくれることもありますので、授乳を待たせる際には便利ですよ。

まとめ

双子育児の初期、離乳食が始まるまでは授乳がお世話のメインです。それだけに、どんな方法が対応しやすいかを見つけることは、ママやパパの負担を減らして双子育児を楽しむことにつながります。

最初は大変さが勝るかもしれませんが、慣れてくると少しずつ余裕も生まれてくるもの。毎日何度も行うことだからこそ、「こうしなければ」と気負いすぎるのではなく「こうしてみたらもっといいかも」と肩の力を抜いて向き合ってみてくださいね。

この記事を書いたライター

いのこさん

マイペースで男女の双子を育てるフリーライター。大事な用事がある日はたいてい雨に降られる筋金入りの雨オンナ。趣味はドライブ、スポーツ観戦、読書。

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