大人と比べると体力がない子どもは、何かと体調不良になる機会が多いものです。双子ともなると2人のケアが必要なので、ママやパパは気が抜けないですよね。
双子の体調管理を上手に行うには、ちょっとしたコツを押さえておけば大丈夫。そこで今回は、子どもの体調管理の基本と双子ならではの体調管理のコツについて紹介します。
1.風邪をひきながら大きくなるというけれど…子どもと免疫の関係とは?
「子供がすぐ熱を出す」「一年に何度も風邪をひいてしょっちゅう小児科に連れて行く」といった話を耳にすることは珍しくありません。そもそも小さな子どもは本当に体調を崩しやすいのかを見ていきましょう。
1-1.生まれたばかりの赤ちゃんは風邪をひかないってホント?
生まれたばかりの赤ちゃんの無垢な姿を見て「体力がなさそうだしすぐに病気になってしまうのではないか」と不安に思うママやパパは多いのではないでしょうか。しかし、赤ちゃんはママのお腹の中にいた時にへその緒を通してママから栄養と一緒に免疫をもらっているため、生まれた時にはある程度の免疫をすでに獲得しています。
ママから受け継いだ免疫は生後すぐから高いわけではなく、生後6ヶ月あたりから少しずつ強くなっていき、生後10ヶ月頃まで体内に残っていると言われています。また、母乳授乳をしていれば母乳を飲むことで母親の体内でつくられた免疫を受け継ぐため、さらに免疫が獲得しやすい状況になるのだとか。
ママから受け継いだ免疫は、生後10ヶ月をすぎたあたりから徐々に薄れてきます。そのため、運動や食事からの栄養などを通して自分で免疫を格闘し抵抗力をつけていくことが必要です。
1-2.大人と同等の免疫を獲得するのはいつ頃?
ママからの免疫が生後10ヶ月あたりから薄れてくる時期は、ハイハイや伝え歩きなど活発に動くようになり、興味の対象が広がってすぐ物を触ろうとする時期と重なります。人間の免疫力はウイルスや細菌に感染してはじめて作られるので、感染して体調不良になることは免疫の獲得のためには欠かせないと言えます。
風邪の原因になるウイルスや細菌は200とも300とも言われています。子どもは大人に比べて感染経験が少ない上に免疫が低いため、こうした感染源に順次感染して風邪をひきながら免疫をつけていきます。この段階が「風邪をひきやすい」と感じる状態なのです。
日常的に接触する大人の数や公園など外で遊ぶ回数によって免疫の獲得スピードは個人差がありますが、大人とほぼ同等の免疫を獲得するのは5~6才くらいだそうです。このあたりまでは大人に比べると頻繁に体調不良になると考えておくと、ママやパパとしては心構えができますね。
2.体調を崩しやすいのはどんな時?
子どもが体調を崩すのは、大人と比べて免疫が少ないからですが、その影響はさまざまなきっかけで出てきます。子どもが体調を崩しやすい主なきっかけを3つお伝えします。
2-1.季節の変わり目
日本の天候は四季があり、その変わり目がくると気温や湿度が一日の中でも大きく変化します。たとえば冬から春、夏から秋に変わる時期は日中暖かいのに朝晩は冷え込むといった寒暖の差が激しいので、体力がない子どもがその変化についていけません。
ウイルスや細菌が体内に入るのとは別に、こうした気温の大きな変化に対応できないことで体調を崩しやすいです。
2-2.生活リズムの変わり目(入園入学)
生まれてからしばらくは自宅で過ごす時間が長く、お出かけする時も家族と常に一緒なので、子どもの生活リズムが大きく変わることはありません。しかし託児所やファミリーサポートなどを利用したり、保育園に通園したりするようになると、家庭での過ごし方とは違う慣れない生活リズムになるため、そのリズムに慣れるまでは体調を崩しやすくなります。
2-3.環境の変化
先ほども触れたように、子どもはウイルスや細菌に接触して感染することで免疫をつけ徐々に強くなっていきます。つまり、その過程では体調を崩すことが続くのは自然なことなのです。
幼稚園や保育園などに入ると、体調や体力に個人差のある他の子どもと同じ部屋の中で過ごすことになりますから、風邪をひいた子どもが近くにいることでウイルスや細菌と接触し体調を崩すことが増えてきます。最近は0歳から保育園に預けるケースも珍しくありませんので、免疫が少なく体力もない年齢で集団生活に入ると体調不良が起こりやすいということはあらかじめ理解しておくことが大切です。
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3.小さい子どもの体調管理のポイント
大人の体力に近づくまでは、子どもは体調を崩しやすいものです。とはいえ、できるだけ体調不良にならないよう、またもし体調不良になっても症状が軽くて済むよう、ママやパパは日頃から子どもの体調管理を心がけておきたいですよね。
子どもの体調管理としてどういった点を意識しておくといいのか、ポイントを4つにまとめましたので参考にしてくださいね。
3-1.衣(服装)
小さな子どもは自分で体温の調節がうまくできません。暑さや寒さを感じても汗をかいたり体温を上げたりする力がありませんし、自分で着替えもできませんから、汗が冷えたり熱がこもったりして風邪をひきます。
汗をかいたら体を冷やさないよう下着をこまめに替えてあげる、肌寒い時は脱ぎ着しやすい服を1枚持って出かける、靴下や帽子などの小物を使って体の末端をカバーするといった工夫をしてあげるといいですね。
3-2.食(栄養)
栄養バランスが整った食事を子どもに食べさせることは、免疫をつけるというよりも体力をつけるという意味でとても有効です。授乳中は母乳かミルクをあげるだけで子どもに必要な栄養分は摂取できているので心配いりませんが、離乳食や普通食を食べさせる年齢になると栄養バランスを考えていくことが大切です。
といっても、プロ並みのメニューを考える必要はありません。見た目の彩りがきれいだと栄養バランスが自然と取れるようになると言われていますから、赤・緑・白・黒・黄といろんな色があるメニューを作るようにすれば、栄養計算などしなくても十分です。
また、さまざまな食材をまんべんなく食べさせたり、よく噛んで食べることで唾液が多く分泌されると体調を崩しにくいので噛みごたえのある食材を選ぶといった工夫もおすすめですよ。
3-3.住(室温、湿度)
先ほどもお伝えしたように、小さな子どもは体温調節が苦手です。衣服で調整するだけでは限界がありますから、自宅の環境も整えることを心がけるといいでしょう。
室内の気温や湿度が適切だと、呼吸器系に負担がかからず風邪をひきにくくなります。室温は夏場なら26~28度、冬場なら20~23度、湿度は一年通して50~60%をキープするのがおすすめ。子どもと長時間過ごすことが多いリビングや寝室に、温湿度計を置いておくと調整しやすいでしょう。
3-4.生活習慣
子どもが体力や免疫を着々とつけていくには、規則正しい生活を送ることがもっとも有効なのだそうです。特に睡眠時間の確保は重要で、幼いうちから夜の9時10時まで起きていると、夜間に分泌される成長ホルモンが分泌されにくくなって体がなかなか強くなりません。
1歳までは1日12~16時間、1~2歳は1日11~14時間、3~5歳は1日10~13時間の睡眠時間をとるのがいいと言われていますから、ママやパパは子どもの年齢を考慮しながらしっかり寝かせてあげるようにしましょう。
散歩やボール遊び、公園の遊具遊びなど日中に適度に体を動かすようにすると、夜しっかり寝てくれるようになるのでおすすめです。
4.双子の体調管理はコツがいる!
ここまでは小さい子どもの一般的な体調管理について見てきました。気になるのは双子の体調管理ですよね。体調管理の基本は把握できていても、2人を同時にケアしていくにはやはりコツが必要です。
双子の体調管理を上手に行うにはどうしたらいいのか、そのコツを3つお伝えします。
4-1.体調不良は時間差でやってくると覚悟すべし!
小さい子どもは実によく体調を崩します。手足口病や嘔吐下痢症、溶連菌感染症といったいわば定番と言われる病気から、ヘルパンギーナやアデノウイルス感染症などさまざまな感染症にかかります。こうした感染症は接触感染や飛沫感染しますので、常に一緒にいて遊んでいる双子のどちらかがかかると高い確率でもう1人にも感染します。
しかもほぼ同時にかかるのではなく、たいてい時間差があります。先にかかった1人が治ってきた頃にもう1人がかかるという状況ですから、そうなると体調不良のケアの期間は1週間を超えます。
1人が感染症にかかったら「おそらくもう1人もかかるだろう」と考えておくと慌てません。入浴や就寝を別々にしたり日中も距離を取るようにしたりといった工夫を可能な範囲でしながら、もう1人がかかった場合のことを想定して、おむつや経口補水液などを多めに準備しておきましょう。
4-2.親の体調管理は子ども以上に不可欠
双子のどちらかが風邪や感染症にかかるともう1人にうつる可能性が高いのですが、同じくママやパパにもうつる可能性があります。すぐそばでお世話をしているわけですから、かかっても不思議ではありませんよね。
筆者の場合、双子が相次いで嘔吐下痢症になりやっと落ち着いたかと思った時にうつりました。子どもから大人にうつると症状がひどいと言われますが、夜寝ていても目が覚めるほどの不快感があって「これはもしや」と思う間もなく嘔吐が始まり、一晩中続くという強烈な経験をしました。
どれだけ注意していてもうつってしまうことはありますが、ママやパパがダウンしてしまうと大変ですよね。熱があろうが嘔吐や下痢の症状があろうが双子のお世話は待ったなしです。体がしんどいという以上に、体調不良を押して食事やおむつ替えや入浴や寝かしつけはしなければいけないという状況は辛いものです。
実は筆者は双子から病気がうつったのは、先ほどお伝えした1回だけ。小学校に上がるまで双子は何度も風邪や感染症にかかりましたが、幸い筆者自身が体調不良になることはありませんでした。その正確な理由は分かりませんが、子どもの世話をした後は都度手洗いとうがいを徹底する、看病のために夜眠れない時は翌日の日中にちょこちょこ寝をして体力低下を防ぐ、家事は最低限にして疲れをためないといったことを意識して過ごしていました。
どんなに注意していてもうつる時はうつりますが、もしうつっても軽い症状で済んでお世話に影響が出ないよう、ママやパパ自身の体調管理にも十分気を配りたいものです。
4-3.双子の体調不良時は時短家事で!
双子の場合、2人が一度に体調不良になることもあれば、時間差で体調不良になることもあります。ママやパパからすれば、時間差で体調不良になるパターンはケアする時間が長くなるだけに何かと気を使いますね。
体調不良の原因が感染症だと、感染するリスクを避けるためには祖父母など他の家族を呼んで双子のお世話をお願いするわけにはいきません。そこで重要なのが、ママとパパが上手に連携して時短家事で済ませること。
日中ママが1人で双子のお世話をするなら、看病する期間だけは家事を最低限にして看病に専念しましょう。食事は子供用のレトルト食品を活用すれば、料理が苦手なパパでも準備できますね。
体調不良の子どもが汗をかいたり嘔吐したりして洗濯物が増えやすいので、パパがいる夜間に洗濯して干してもらいましょう。掃除は正直数日しなくても大丈夫と割り切ることです。夜寝る時はママとパパが1人ずつ担当して、別室に分かれて添い寝すると感染リスクを下げられます。
子どもの体調不良の程度にもよりますが、時間や労力を費やす看病は大変なことです。加えて双子が時間差で体調不良になると、看病する時間が長引き負担も大きくなります。普段通りの家事をしようとすると辛くなってしまいますから、看病中の数日は時短家事で上手に手を抜いてください。
まとめ
体力がついて免疫力も高まってくる5~6歳までは、子どもが頻繁に体調不良になるのは成長の過程としてごく自然なことです。しかし、双子だとお世話するママやパパの負担は2倍になりますから、仕方ないことだと頭では分かっていてもなかなか辛いものがありますよね。
特に感染症が発生しやすい秋口から春にかけての時期は、風邪が治ったと思ったら別の感染症にかかってまた看病生活というパターンが起きやすいです。
子どもの体調不良は避けて通れないことではありますが、できるだけ症状が重くならないよう日頃から体調を整えるような生活を心がけること、そしていざ体調不良になった時はできるだけ早く回復するようケアに集中する、そのために時短家事で乗り切る、これらを意識しながら対応してくださいね。